SHOWROOM Arena(β)お披露目+Arenaが目指したいもの

こんにちは。サーバーサイドエンジニアの齋藤です。
先日プレスリリースが出て、実際のライブで使用されたSHOWROOM Arena(β)について今日はお話ししたいと思います。

prtimes.jp

そもそもSHOWROOM Arena(β)とは

SHOWROOM Arena(β)がどういったものかというと
配信を視聴している皆様の映像を集めて
ステージでパフォーマンスをしているアーティストの元に届ける

ためのものです。
発想自体は特に新しいものでもなく、Web会議システムを使っての試みがテレビ番組や無観客ライブ配信などで既に行われています。

これを配信プラットフォーム1つで、ライブ会場で実現したい、と考えました。
以前の記事にも書きましたが、SHOWROOMは「仮想ライブ空間」です。
ステージがあり、観客がいるのがSHOWROOMです。
アーティストが観客を感じられなくなったのであれば、仮想ライブ空間がその代わりを担えばいい。
そこをテクノロジーで解決するのがエンタメテックカンパニーでSHOWROOMの役目だと思っています。

実際のライブでの利用風景

開発的な話は後ほどにするとして
先日実際にSHOWROOM Arena(β)を使用したライブの様子がこちらです。

Zepp Hanedaで 9/11 9/12に行われたHYDEさんの「HYDE LIVE 2020 Jekyll & Hyde」で採用されました!

「HYDE LIVE 2020 Jekyll & Hyde」9月11日公演
「HYDE LIVE 2020 Jekyll & Hyde」9月11日公演の様子1

「HYDE LIVE 2020 Jekyll & Hyde」9月11日公演
「HYDE LIVE 2020 Jekyll & Hyde」9月11日公演の様子2

実際のライブの様子は、ナタリーさんが初日のレポートも書いていただているのでそちらを貼っておきます。

natalie.mu

「Arena」という名称は、SHOWROOM上にアリーナ席を作るつもりで命名しました。
スタンド席があって、アリーナ席があって、SHOWROOMアリーナ席がある。目指した世界観はそこにあります。 当事者なので贔屓目もかなりあるとは思いますが、SHOWROOMアリーナ席の皆様はとても楽しそうにライブに参加されているように見えました。 その光景が見れただけで、まずはこの試みは成功に終わったのではないかと思っています。

もちろん全てがうまく行ったわけではなく、改善点も多く出ました。
それは今後に向けて解決していかなければならないと思っています。

さて、ライブの振り返りはこれくらいにしておいて、開発に関わるお話に移ろうと思います。

プロジェクト立ち上げの経緯

以前プレミアムライブ機能をリリースした際にこんなブログを書きました。

tech.showroom.co.jp

この記事の最後に書いた内容がこちら。

観客席からの熱量を配信者の方に返すことが
これでは実現できていません。
双方向性が用意できてこそSHOWROOMです。
もしも無観客でのライブだったとしても、
配信で見ている人たちの想いが届けられるとしたら、
それはきっと素晴らしいことだと思うのです。
次はそこを目指したいと思います。

SHOWROOM Arena(β)は、この時の想いを具体化すべく立ち上げました。 本当の理想形を実現するにはまだまだ先は長いですが、この時思い描いていた世界に一歩近づけたのではないか、と思います。

開発のポイント

今回開発する上で一番のポイントになったのは
今までSHOWROOMがやってきたことをこんな感じで応用したらできるのでは?
という気づきがいくつもあったことだと思います。

アバターとコメントとギフトで作られた仮想ライブ空間があって、
どうしたらその空間をもっと楽しい場所にできるのか、ずっと試行錯誤してきました。
今まで積み重ねてきた経験をちょっと延長させてみたら、
その上にArenaの仕組みが乗っかってきたような、そんな感じがします。
SHOWROOM Arena(β)は2020年9月11日がローンチ日となりましたが
今までの積み重ねと優秀なエンジニアの腕によって、無事この日を迎えることができたと思います。

SHOWROOM Arena(β)配信システム

実はこの仕組み、今までの配信とは関わる人の数が全く異なります。
今までは配信する側がいて、そこから送られてきた動画が視聴者に届けばOKでした。
今回は視聴者側も映像を送る必要がありますし、それを配信している側で受ける必要があります。

簡単な図で表すとこんな感じになります。(これとは別に、会場自体の映像をSHOWROOMの映像配信サーバ経由でSHOWROOM配信しています)

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SHOWROOM Arena(β)イメージ図

SHOWROOM Arena(β)配信運用 

このシステムは通常のライブ配信と違い、配信者のライブ会場側に大量の映像ストリーム(ファンの皆様の映像)の受信が発生します。

そのため

  • サーバサイド:ライブ会場の回線限界や受信PCの処理負荷などを避けるために、様々な処理をサーバサイドで行いました。

  • 配信技術チーム: 配信状況のチェックや現場での見え方、ライブ自体の演出との整合性、モニタ配置や調整などを行いました。

  • クライアントサイド: ファンの皆様のPCから迷わずにSHOWROOM Arenaに参加出来て、会場に熱気を届けられるようなUI設計、映像送信部分を新規で開発しました。

このサーバサイド、クライアントサイド、配信技術チームそれぞれのチームワーク無しにはなかなか成功できなかったはずです。

そして、この新しい試みに対して お茶の間からライブを一緒に作り上げてくれたHYDEさんのファンの方々が居てこそ、成立したプロジェクト だと思っております(SNS上で連携して盛り上げている様子を見ていて、開発チームは深く感動しました。茶の間コールレスポンス最高でした!)

配信実験を行ったりアーキテクチャ図を起こすまでは、多くの人が想像できるとおりですが、実際のライブ会場からの配信でこれを実現しようとすると、上記のように様々なパワーが必要になります。

こうして 配信実験で終わらせずに、実際に本番運用まで実現できた ことを、とても嬉しく思います。

SHOWROOM Arena(β)今後の展望

テックブログのくせにほとんど技術の話を書いてませんが
偶然のようにいろんな点が線になって出来上がり、チームワークによって本番運用を成功させた、本当にそう感じてます。

こうして無事デビューを迎えたSHOWROOM Arena(β)。
「(β)」がついている通りまだ発展途上の機能です。
まだまだ追加したい機能はたくさんあります。

コロナ禍は未だ完全な終息の目処は立っていません。
「新しい生活様式」という言葉もすっかり馴染みのあるものになりました。
「早く収まってほしい」と指をくわえて待っているだけではなく
よりエンターテイメントにあふれた仮想ライブ空間を作るために
SHOWROOMはさらなる挑戦を続けるつもりです。

そんなSHOWROOMでは引き続きエンタメに熱くなれる人 を募集してます。
ご興味ある方はぜひ!
https://recruit.showroom.co.jp/