プレミアムライブ機能をリリースしました

こんにちは。サーバーサイドエンジニアの齋藤です。
このたびプレミアムライブ機能
(チケット購入者のみ視聴可能な全画面配信機能)
をリリースしたので、開発に関わる話を書こうと思います。

prtimes.jp

なお、プレミアムライブ機能自体は
SHOWROOM単体の機能なので
バーチャル配信だけでなく
リアルライブの配信もご利用いただけます。

開発に至った経緯

僕はもともとエンタメ大好き人間なので
週末はほとんどスポーツ観戦とライブ参戦で埋まっています。
そんな僕の楽しい週末の予定たちは
2020年2月の終盤に差し掛かると
ほぼ全てが中止となってしまいました。

エンターテイメントとは娯楽です。
緊急事態での優先順位が低くなることは仕方ない。
でも週末の予定が全てなくなって思ったのは
もしこの世界からエンタメが消えたなら
こんなにも味がしない毎日が続くんだな、ということでした。

SHOWROOMはエンタメテックカンパニーです。
技術を持ってエンターテイメントを切り開くための集まりです。
僕らにしかやれないことがあるのではないか、
そういう思いからすぐにプレミアムライブの構想を立ち上げ、プロト版の開発に着手しました。

実現したかったこと

視聴者向け

SHOWROOMの配信画面は
「仮想ライブ空間」をイメージしています。
そのため配信の動画だけではなく
ステージがあり、観客がいます。

この「仮想ライブ空間」を使って
中止になったライブを配信で楽しめるようにしたい。
数ある動画配信プラットフォームの中で
「ライブ空間をインターネット上で再現しよう」
というコンセプトを持っているのはSHOWROOMだけだと思います。

視聴者には、まるでライブを現場で見てるような楽しみ方を提供したい。
そのために必要だと考えたのが
・フルスクリーン視聴
・高画質化
の2点です。

仮想ライブ空間のコンセプトは大事にしたいものの
臨場感のあるライブ視聴のためには
どうしても画面の小ささがネックになってしまう。
そこでプレミアムライブの機能としては
まずは大きな画面で見れるということを最優先にし、
フルスクリーンモードを搭載することにしました。

また、フルスクリーンで視聴する場合に気になるのが画質です。
さすがに従来と同等の画質では
十分な満足度は得られないと判断し
高画質配信・視聴が可能なサーバーを用意しました。
スマートフォンからの配信は従来どおりですが
パソコンを用いた配信であれば
HD画質で配信した映像をそのままのクオリティで
視聴者にお届けすることができるようになりました。

ちなみにありきたりではありますが
フルスクリーンモードと通常モードの切り替え方法は
動画右下のボタンによって行うようにしてます。

f:id:saitoryc:20200323195945p:plain
フルスクリーンモード切り替えイメージ

配信者向け

ライブとは本来有料で行われるものです。
チケットやグッズの売上は大事な収入源です。
それが中止になり続けてしまうことで
そもそもの活動継続が困難になってしまいます。
「今耐えていれば必ずまたやれる時が来る」
というわけではありません。
ここで耐えきれなかった場合
再起するのは簡単な話ではないと思います。

世の中が落ち着いて、元に戻ろうとする時まで
活動が可能な状況を作らなければならない。
となると、単にライブを配信するだけではなくて
それを使って収益を上げてもらわなければならない。

SHOWROOMでの視聴は基本的に無料です。
それはそれでより多くの人が観ることができますが
それとは別にしっかりと配信者の方々へ
収益を還元できる仕組みを作る必要があります。

そこで今回は視聴そのものを有料にする機能を用意しました。
本気のパフォーマンスを配信して、
それをチケットを購入して視聴する、
本来のライブのあり方に近い形を実現することを目指しました。

これらの機能を備えた配信は
通常のSHOWROOM配信とは完全に別物になるので
これらを「プレミアムライブ」と呼ぶことにしました。

開発のポイント

フルスクリーンモードと高画質向けサーバーの用意。
この2点をどれだけスムーズに入れられるか。
それがこの開発のポイントになると思っていました。
しかし幸運なことに優秀なエンジニアに恵まれ、
Web、iOS、Androidいずれも
「やろう」と決めたその日のうちには
フルスクリーンに対応してくれました。
配信サーバーも同じく
その日のうちに用意が完了しました。

高画質化の際のポイントとして
「通信環境が高画質に耐えられない視聴者のケア」
という観点が重要だったりします。
低画質モードに切り替えても
一定のレベルで視聴できなければならない。
そのための対応も必要になったのですが
これも迅速に対応してくれました。

意外にも時間がかかったのは有料化の部分です。
プロトタイプはものの30分で作れたのですが
ちゃんと作ろうとすると考慮すべきポイントが多く…
導線はどうするのか
通常の配信ルームとどこを変えるのか
購入してるユーザーと購入済みユーザーの区分け
エラー処理、もちろんテストも確実に。

スピード重視に作りつつも
お金が関わる部分ではあるので慎重に、
そこのバランスを取りながらの開発になりました。

もちろんこれが急に割り込んできたからといって
もともと動いていた施策を止めるわけにも行きません。
そこの兼ね合いが一番大変だったかもしれません…

今後の展望

ひとまず収益還元の仕組みと
フルスクリーンの仕組みは作れました。
今後はこの機能を使って
新しいライブの場をご提供していければ
と考えていますが、まだまだ改善の余地はあります。

何よりまず第一に「仮想ライブ空間」であること。
ここにはやはり拘りたいと思っています。
今回リリースしたバージョンでは
通常モードは普段の配信ルームと同等の見た目なので
ギフトやコメントもご利用いただくことができます。
しかしフルスクリーンで視聴している場合は
ごく普通に動画を見ているだけになります。

パフォーマンスをして、フルスクリーンで観る。
そこまでは今の機能で実現できますが
観客席からの熱量を配信者の方に返すことが
これでは実現できていません。
双方向性が用意できてこそSHOWROOMです。
もしも無観客でのライブだったとしても、
配信で見ている人たちの想いが届けられるとしたら、
それはきっと素晴らしいことだと思うのです。
次はそこを目指したいと思います。

さいごに

熱量高めのブログになってしまいましたが
結局のところ「楽しい土日を取り戻す」というのが
一番のモチベーションだったかもしれません。
そのためにはエンタメ界隈のみなさまが
今後も活動を継続してもらわなければ困るわけで
そこに対してやれることがあるなら今後も全力で挑んでいくつもりです。

SHOWROOMではそんなエンタメに熱くなれる人を募集してます。
ご興味ある方はぜひ!

recruit.showroom.co.jp