LINE ClovaからSHOWROOMの配信操作ができる配信者向けツールを作ってみた
こんにちは。SHOWROOM Tech Studioインターン生の伊藤です。
昨年末に社内でスマートスピーカーハッカソンが開かれるなど、スマートスピーカーを使用してSHOWROOMをより便利にできないかという取り組みをしていました。 今日はその成果物についてブログを書いて行きたいと思います。
どんなアプリか
SHOWROOMの配信操作 (配信スタート/ストップ、テロップの変更) をClovaに話しかけるだけで可能にするアプリ
(リリースするかは未定です)
誰の何を解決するか
楽器を使用した配信で、両手が塞がっている配信者さん
ダンスなどのパフォーマンスでカメラ(配信端末)から離れたところで配信する配信者さん
カメラに顔を近づけることが億劫な配信者さん
その他、何らかの理由で手を使用することができない配信者さん(配信中に手が汚れる等)
などが、「声だけで」「配信端末から離れた場所から」配信操作ができるようになる。
技術仕様
Python 3.7
Flask 1.0.2
line-bot-sdk-python 1.8.0
clova-cek-sdk-python 1.0.1
シーケンス図
利用手順と技術解説
1. Clovaスキルのインストール
LINE Clovaアプリのスキルストアから「SHOWROOM 配信サポート」というスキルをインストール(利用開始)します。
ちなみにClovaスキル自体は、GUIツールを使って、1行もプログラムを書くことなく作成可能になっていました。
具体的には、まず「カスタムスロットタイプ」と呼ばれる「Clovaが認識できる単語」を設定します。
その後、カスタムスロットタイプを使用して、実際にトリガーとなる文章を設定していきます。
この文章がインテントと呼ばれ、ユーザーが Clovaに話しかけると、アプリのサーバーに、「呼ばれたインテントの種類」と「そのインテントに含まれるカスタムスロットタイプ」をパラメータとして保持したリクエストが飛んでくるという仕組みになっています。
2. LINE Botを友達追加
Clovaスキルの詳細画面もしくはQRコードなどからLINEのメッセンジャーアプリで、「SR配信者向けBot」を友達追加します。
アカウント連携メニューは、Rich menuという機能を使用して表示しており、この機能は、画像上のユーザーがタップする場所によって、異なるリクエストをサーバーに飛ばすことができると言うものです。 詳細はLINE Messaging API 公式リファレンスをご覧下さい。 今回はPostback messageを使用しました。
3. SHOWROOMとのアカウント連携を行う
アカウント連携メニューをタップすると、SHOWROOMとのアカウント連携用のリンクが送られてくるので、リンクをタップするとSHOWROOMのOAuth認証に遷移します。
SHOWROOMのID、パスワードを入力してログインし、このBotアプリとのアカウント連携を許可します。
これでSHOWROOMとのアカウント連携完了です。
チャット画面に戻ると、Rich menuがアカウント連携済みのメニューに変更されているようにしています。
また、Clovaスキル起動時にRefresh tokenの利用によってAccess tokenが自動更新される処理を以下のように書いているため、アカウント連携済みでRefresh tokenが有効な状態であれば、いつでもClovaに話しかけるだけで配信サポートが利用できます。
@clova.handle.launch def launch_request_handler(clova_request): ............ ............ if user_authorization and user_authorization.access_token_expired_at < now: refresh_token = user_authorization.refresh_token headers = { 'Content-Type': 'application/x-www-form-urlencoded', } ................. ................. ................. user_authorization.access_token = access_token user_authorization.access_token_expired_at = access_token_expired_at user_authorization.refresh_token = refresh_token db.session.add(user_authorization) db.session.commit()
このSHOWROOMとのアカウント連携の細かい実装は、弊社エンジニア シミズさんの以下の記事が詳しいので、是非こちらも読んで見て下さい。
4. Clovaに話しかける
以下の動画のように「Clova、配信スキルを開いて」と話しかけてスキルを起動し、「配信を開始して/終了して」「テロップをコメント下さい!に変更して」などと指示をすることで配信操作が行えます。
また、操作の指示に対してClovaが返事をしてくれるのと同時に、LINE Botからも以下のように操作結果がメッセージで通知されるようになっています。
Clova開発してみた所感
良かった点
ClovaのVUI (Voice User Interface) のみからSHOWROOMとのアカウント連携を行うのは困難だと判断し、LINE Botから初めのアカウント連携を行う設計にしました。
Userは基本的には、LINE BotもClovaも同じLINE Accountを使用しているため、Bot側からLINE AccountのIDを取得すれば、その IDでClovaも操作できます。
課題
前述した通り、Clovaのスキル作成は、事前に
- ⑴ カスタムスロットタイプという「Clovaが認識できる単語」
- ⑵ Intentという「予想されるUserからの発話」
を設定しておかなければならない、つまり、Userの発言を変数として扱うことが出来なかったため、テロップの内容をUserが自由に変更することは実現できませんでした。
今回のアプリは、事前に「コメント下さい!」「初見さん歓迎!」「ガチイベ中!」などの文を設定しておいて、その中からのみテロップを作成・変更できるという仕様になっています。
最後に
今回作成したアプリは、SHOWROOM、LINE Clova、LINE Botと、多くのサービスとの連携が必要だったため、Open ID Connectなどの認証認可周りの理解を深めることができました。
一方で、スケーラビリティなどの課題があるため、このアプリをそのままリリースすることはできないです。 今後は、スケーラビリティのあるアプリを作れるようにインフラ周りの勉強もして行きたいと思います。