Unity同士で別のPCにセンサーデータや入力データを送りたい時のMirrorを使うサンプル
こんにちは。 SHOWROOM xR Lab エンジニアの @izm です。
Unityを使ってハードウェア絡みのプロジェクトを作っていると、例えば端末を2台用意して
- PC1: メインPC、表示を行う
- PC2:サブPC, ViveTrackerをぶら下げてPC1にデータを送る
というようなことがしたくなります。
特に OculusTouchは1PCに2個までしかペアリング出来ないとか、Noitom Hi5は1PCに1個しかペアリング出来ないとかの制限があったりするため、こういう需要は結構あります。 他にはOculusGoに外部機器を無理やり外付けするかのような処理、などでも使い道がありそうです。
一番定番の方法としてはUdpClientを使ってSendとReceiveをするのですが、双方向性を担保したり、GUIを拵えたりするのが結構面倒くさいです。
このエントリは、Unityアプリ同士でこういった通信を(比較的)簡単に実現する手法を解説します。
普通のUNETやPhotonを使ったネットワークゲームを作る場合は、同一のシーンであることを前提にした各種チュートリアルがありますが、今回の用途だと送り手側と受け手側で、別のシーンを使う事が多いと思います。
なので今回のサンプルも送り手と受け手が別シーンという前提です。(もちろん同一シーンでも動きます!)
ネットワークライブラリにMirrorを使う
通信するためのネットワークライブラリにはUNET後継のMirrorを使います。
MirrorはほとんどUNETと同じような使い勝手で、別途NobleConnectなどのRelay&NAT PunchThroughソリューションと組み合わせることで、インターネット越しに処理を送ることも出来ます。
つまり、LTE回線のiPadをコントローラとして使ったVJアプリ、とかお客さんが手元のスマホから情報を送る、などの使い道もあります。
(NobleConnectやMirrorの説明については拙blogエントリにまとめてあります)
単純なセンサー情報を送るためのMirrorの使い方
最初に注意点
大事な点を一個先に書きます。シーン上で NetworkIdentityとNetworkBehaviourを使わない ようにしましょう。
なぜかというとUNETやMirrorのNetworkIdentityというのはネットゲームを想定した作りになっていて、
PC1とPC2が 同一シーンに置いた ゾンビ発生器 の発生確率パラメータを同期する、などの時に有用なのですが、同一シーン同士でないと意味がありません。
今回のように送り手と受け手が別シーンになると、NetworkIdentityの同一性チェックが失敗します。 (シーンID+GUIDが完全一致していないと動かないので)
代わりに MonoBehaviour内でNetworkClient.SendとかNetworkServer.isConnected みたいに直接staticなNetworkClientとかNetworkServerクラスを叩いてください。
//PhotonのPhotonViewは別シーンでもPhotonViewIDを揃えれば動いた気もします!
具体的な作り方
前置きが長くなりましたが作り方です。
送るデータはこんな感じでクラス定義します。 MessageBaseクラスを継承するのを忘れないようにしましょう。
SendData.cs
[System.Serializable] public class SendData:MessageBase{ public string name; public Vector2 axisData; }
送り手.unity
送り手側はクライアントとして振る舞います。
NetworkManagerを置いてNetworkManagerHUDを付けておきます。
送り手スクリプトは別GameObject(Sender)を作って SendTest.csを以下のように書きます。簡単!!!
public class SendTest : MonoBehaviour void Start() { //ここで、センサーの初期化をする //DoSomethingInitSensors(); } void Update() { //接続してない時はセンサーデータを送らない if (NetworkClient.isConnected) { //ここでSendDataを作る、センサー情報を差し込む SendData data = new SendData(); data.name = "Hoge"; data.axisData= new Vector2(Random.Range-3f,3f),0); //NetworkIdentityとか無視して、直接送信する!!! NetworkClient.Send(data); } } }
受け手側.unity
受け手側はサーバとして振る舞います。 NetworkManagerを置いてNetworkManagerHUDを付けておきます。
受け手スクリプトは別GameObject(Receiver)を作って ReceiveTest.csを以下のように書きます。
public class ReceiveTest : MonoBehaviour { public static Action<SendData> OnReceivedSensorData; void Start() { //サーバ側でイベントデータを登録しておく NetworkServer.RegisterHandler<SendData>(ReceivedInfo); } private void ReceivedInfo(NetworkConnection conn, SendData data) { Debug.Log(JsonUtility.ToJson(data)); //ここでActionを生やす OnReceivedSensorData?.Invoke(data); } }
受け手シーン側では
ReceiveTest.OnReceivedSensorData+= 何かAction
みたいな感じで使いましょう。
注意点
Playerは念のためEmptyPlayerみたいなprefabを作る ようにしてください。NetworkManagerのAutoSpawnPlayerをオフにするのは、要らぬバグを踏むリスクがあります。
また、送るカスタムメッセージ定義はGenericsを含められません。JsonUtilityでシリアライズ可能でも、Mirrorのカスタムメッセージ定義では失敗します。
つまりList
最後に、C++アプリとUnityの通信とか、Unity同士ではない組み合わせだと破綻するので注意してね!!!
サンプルプロジェクト
コントローラの入力を送る最小サンプルプロジェクトを以下に公開しています。
GitHub - neon-izm/MirrorOtherSceneServerClientSample
まとめ
毎回UdpClientやNetworkReaderをスレッド分けて書くのも大変なので、こういったお手軽通信方法を覚えておくと、モックを作ったりデモを作る時に便利です。
今回使用したMirrorは情報自体はそれほど多くないものの、UNETと基本的な書き方は変わらないです。そのためUNET解説記事を参考にすることが出来るので、安心して使えると思いました。
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